2026.04.07
中1生
中2生
中3Aクラス
中3Bクラス
教務
各学年、授業の冒頭に小テストを行うことが多いのですが、観察していると、成績と書くスピードには明確な相関関係があります。
勉強が苦手な子は、小テスト中の様子を見ていると書くのが遅いです。一番早く終わる子が2分程度だとすると、最後の子は6分程度かかります。自己採点の時間も含めると、さらにそれ以上。1つの作業に関して、およそ3倍から4倍の所要時間がかかるわけです。
もちろん、「勉強をしてこなかったために、テストが出来ない」というケースもあります。しかし、ちゃんと塾の小テスト勉強をしてきて、満点、もしくは満点近くとっているにもかかわらず、書くスピードが非常に遅いケースも見られます。
なぜ書くのが遅いのかについては、運筆の問題、長年の勉強不足による問題もありますが、実は脳内の「情報処理の問題」によるところが大きいです。
要因1 「塊(チャンク)」で語句を捉えられていない
できる子は、例えば「鎌倉幕府」という言葉を一つの記号として一瞬で記憶し、一気に書き出します。しかし、苦手な子は「鎌・倉・幕・府」と一文字ずつ、ひどいケースですと「金・兼…」とパーツごとに認識しています。視線の往復回数が多いため、板書を写す際も書くスピードが劇的に落ちるのです。
先週の中2クラスで、化学反応式を板書し、ノートに写すように指示しました。勉強が得意な子達は、一瞬で写してしまうのですが、勉強が苦手な子達は、何度も何度も黒板を見てました。1回に覚えられる量(1回に処理できる量)が圧倒的に少ないのです。
要因2 迷いがペンを止めている
「次はどこに書くか」「どの色を使うか」「漢字はこれで合っているか」。勉強が苦手な子は、こうした小さな判断のたびに思考が中断しています。この「迷っている空白の時間」が、スピードの差となって現れます。
要因3 脳のメモリが「書くこと」で満杯
勉強が得意な子は、手を動かしながら「次の段落に何を書こうかな」と考えたり、書きながら先生の話を聞いたり・・・と「同時作業」(マルチタスク)が得意です。
一方で、勉強が苦手な子は、文字を書くことだけに全神経を注いでいます。その結果、肝心の「先生の話を聞く」「内容を理解する」ための脳の余裕(ワーキングメモリ)がゼロになり、「ノートを写したけれど、何も覚えていない」状態に陥ります。
要因4 アウトプット経験が少ない
そもそも書くことに慣れていない(トレーニング不足)が原因になっていることもあります。
要因5 インプット不足(勉強不足)
要因4とセットなのですが、そもそも勉強不足であれば、書き出そうとしても「思い出すための素材(ストック)」が頭の中に存在しないので、作文をはじめとして文章が書けません。
要因6 完璧主義・不安が強いケース(心理的ブレーキ)
間違えたくなくてその都度止まる性格的問題に起因するケースもあります。買い物でも決断が遅い人がいるのと同様、勉強でも選択するのに時間がかかるタイプの子がいます。「この言い方でいいのか?」と迷い、書くスピードが遅くなります。
逆に上位層は、スピード優先で、後から修正すると割り切れる子が多いです。つまり、未完成でもアウトプットする勇気があります。間違ってもいいので、とりあえず書き出しみるのが上位層です。
要因7 思い出すのに時間がかかる
記憶力とは思い出す力のことです。しかし、この思い出す時間に個人差があります。瞬時に思い出せる子もいれば、数秒かかる子、30秒程度かかる子もいます。この時間が長い子は書くスピードも遅くなります。
以上、7つのケースを挙げましたが、書くスピードが遅い人は、書くこと自体が遅いというよりも、「頭の準備ができていない」というイメージに近いです。言い換えれば「準備不足」です。書くのが遅い人は、書く前にすでに止まってる。北斗の拳の言葉を借りれば、「お前はもう止まっている」です。
まとめると
遅い人は「書く前にすでに止まっている(走行するためのガソリンが不足している状態)」
速い人は「書く前にほぼ終わっている」
対策
①「制限時間つきでやり、時間が来たら強制終了」→ 完璧主義を壊す
②「型」を先に叩き込む
たとえば
英語なら、「主語 → 動詞 → 目的語」
国語の作文なら「結論 → 理由」
など、テンプレート(雛形)を頭に入れる。
考える前に書ける「仕組み作り」をすることが重要です。
③「書く量」を物理的に増やす
結局これが一番効きます。書く=筋トレと同じです。ある程度の回数をこなすことが必要です。
④ 反射レベルまで繰り返す
(漢字・単語は1秒で出るまで)
現在の入試は、高校受験も大学受験も、頭の良さを図る試験というよりは、情報処理能力を試す試験です。「書くのが遅い」のは、本人の能力不足というよりは、情報の処理方法を知らないだけのケースが多いです。
だから、とにかく止まらずに書けるようなるまでトレーニングする。これを続けると、ある瞬間から「考えなくても出てくる状態」になります。書くことが自動化され、無意識に手が動くレベルになります。情報処理能力が上がった証拠です。
このレベルなって初めて、脳は「なぜこうなるのか?」という思考に100%の力を割けるようになり、思考力も伸びていきます。じっくり考えることが大事だと思われがちですが、処理速度という土台がなければ、そもそも思考するためのリソースが残りません
思考力を付けたいのなら、まずは書くスピードを上げることです。成績が低迷している子達は、書くスピードを上げることを最初の目標にしてください。